去勢手術・避妊手術
去勢手術・避妊手術について
去勢手術・避妊手術は、予定しない妊娠や出産を防止する策として有効です。また、わんちゃんとねこちゃんにはそれぞれ年齢が上がるとともにリスクが上昇する疾患がありますが、去勢・避妊手術をすれば複数の疾患のリスクを下げる効果も期待できます。そのため、去勢・避妊手術は妊娠や出産を避けるだけでなく、健康維持にも有効なのです。大切な家族である動物たちと長く楽しく過ごすためにも、ぜひ去勢・避妊手術をご検討ください。
こんなお悩みありませんか?
- 動物にはできるだけ自然のまま生きてほしい
- 病気でもないのに手術をすることに抵抗がある
- 男の子しか飼っていないので必要を感じない
- 室内飼いなので必要を感じない
上記のように考える方は多いと思いますし、確かに「去勢・避妊手術は絶対に受けるべき」とまでは当院も言えません。とはいえ、当院は妊娠や出産の防止という観点以外からも、去勢・避妊手術をおすすめしています。去勢・避妊手術を受けていると、性ホルモンに関連する複数の疾患を予防しやすくなりますし、無駄吠えやスプレー行動などの問題行為を抑える効果も期待できます。また、動物たち自身の性的ストレス軽減にも役立ちます。そのため、「大切な家族の一員であるわんちゃんやねこちゃんと、長く楽しく健康に過ごしたい」という想いを叶える方法のひとつとして、ぜひ去勢・避妊手術をご検討ください。
去勢手術・避妊手術に適した時期
去勢手術、避妊手術はどちらも生後6~7ヶ月以降に可能となります。オスであれば、2歳頃までに去勢手術を済ませることで、精巣がんや前立腺肥大といった疾患のリスクを低減することができます。またこれによって、スプレーやマーキングなどの問題行動を抑える効果も期待できます。一方、メスのわんちゃんの場合は初めての発情期より前に避妊手術を行うことをおすすめします。この時期までに手術しておけば、乳腺腫瘍の予防がしやすくなります。※メスに関しては、発情期に入ってから避妊手術を行うと出血が多くなる傾向が強いので、意識的に避けましょう。
去勢手術
去勢手術では精巣を摘出することで、生殖機能をなくします。「人間の都合でそんなことをしていいのだろうか?」と考えることもあるかもしれませんが、精巣がんや前立腺肥大などの疾患を防止できる点で、動物にもメリットがあります。また、去勢によっておだやかな性格になることが多いので、不要なケンカを防ぎ、結果的にケガの抑制にもつながります。とはいえ、手術にはメリットだけでなくデメリットも存在するので、飼い主様にじっくり考えていただけるように、当院では丁寧な説明を行っています。
Merit メリット
- おだやかな性格になることが多い
- 肛門周囲腺腫や前立腺肥大などのリスクが下がる
- 発情期のメスに対する過剰な反応や、マーキング、放浪などが少なくなる
Demerit デメリット
- 肥満になりやすくなる
- どんな手術であってもリスクがゼロということはあり得ない(麻酔手術におけるリスク)
避妊手術
避妊手術では、卵巣や子宮を摘出することで妊娠を防止します。生殖的な側面だけでなく、卵巣に関連する疾患の予防に役立ちますから、健康面でのメリットも存在します。さらに、発情期の出血量が少なくなりますし、ストレス軽減も期待できるので、動物が過ごしやすくなる利点もあります。ただし、いったん手術すると妊娠する機能の回復はできないことをご理解の上で手術を受けてください。
Merit メリット
- 予定しない妊娠や出産を回避できる
- 発情期に部屋を汚す可能性を抑えることができる
- 生殖器に関連する疾患のリスクが減る
Demerit デメリット
- 身体的苦痛(術後の疼痛)
- 肥満になりやすくなる
- どんな手術であってもリスクがゼロということはあり得ない(麻酔手術におけるリスク)
- 犬で尿失禁の症状が現れることがごくわずかな可能性である
- 犬でホルモンが関係する脱毛症が出る個体がごくわずかに存在すると言われている
わんちゃん・ねこちゃんの避妊手術の重要性
わんちゃんの避妊手術
メスのわんちゃんに最も多く見られる悪性腫瘍は悪性乳腺腫瘍です。発症率は2~20%程度と言われていますが、悪性腫瘍の7割を占めるという意味では注意が必要です。避妊手術の時期が乳腺腫瘍の発症率を左右しますので、まずは一度ご相談ください。
避妊手術の時期と乳腺腫瘍発生率の関係
- 初めての発情前に避妊手術をすれば、乳腺腫瘍の発症率は0.05%
- 初めての発情後で2回目の発情前に避妊手術をすれば、乳腺腫瘍の発症率は8%
- 2回目の発情以降に避妊手術をすれば、乳腺腫瘍の発症率は26%
3回目の発情以降に避妊手術を受けても、良性の腫瘍を抑える効果はあると思われますが、悪性乳腺腫瘍を予防する効果は期待できません。ただし、良性の乳腺腫瘍が悪性に移行することを考えると、良性でも腫瘍を抑えることには意味はあるでしょう。悪性腫瘍は別の箇所に転移する上に、広範囲に広がりやすいという、良性腫瘍には無い特徴があります。また、悪性乳腺腫瘍は発見の時期が遅れると生命をおびやかす可能性が上がるので、早期に発見して対応するかどうかも治療を大きく左右します。
ねこちゃんの避妊手術
ねこちゃんであれば、乳腺腫瘍の8割が悪性と言われています。悪性の場合は転移も考えられるので、早期の対応が重要です。また、避妊手術を受ける時期によって、乳腺腫瘍が発生するリスクも変動します。
さらに、ねこちゃんは避妊手術を受けていない場合、乳がんの発症リスクが7倍も高くなります。
避妊手術の時期と乳腺腫瘍発生率の関係
- 生後6ヶ月以内に避妊手術をすれば、乳腺腫瘍の低減率は91%
- 生後7~12ヶ月に避妊手術をすれば、乳腺腫瘍の低減率は86%
- 生後13~24ヶ月に避妊手術をすれば、乳腺腫瘍の低減率は11%
上記のデータを踏まえれば、できるだけ生後6ヶ月未満で避妊を受けるメリットは非常に明確です。
また、生後24ヶ月を過ぎると乳腺腫瘍の予防効果は認められないそうなので、その点も含めてご検討ください。
不妊手術料金(麻酔手術前の基本セット)
わんちゃんの料金
- 術前検査
- 8,720円(税込)
- 去勢手術 5kg~
- 25,300円(税込)
ねこちゃんの料金
- 術前検査
- 8,720円(税込)
- 去勢手術 5kg~
- 15,270円(税込)
- 避妊手術
- 25,640円(税込)