皮膚科・耳鼻科

皮膚科・耳鼻科の病気について

「皮膚」は痛みなどを感じることで危険を察知したり、周囲の温度を感じ取ったりするセンサーとして機能しています。また、ウイルスや細菌の侵入を防ぐことなど、身体の外部に存在する脅威から臓器などの生命維持に重要な器官を保護する役割もあります。このように、皮膚を健全な状態に保つことがペットたちの健康を守ることに直結するため、何らかの異常がある場合、早めにご相談いただくようおすすめします。当院にお越しいただければ、必要な検査や治療を行うとともに、耳のケアやシャンプーの仕方などの指導も提供いたします。

こんな症状はありませんか?

  • 皮膚が赤くなっている
  • 痒がっている、掻く、舐める
  • かさぶたやフケが目立つ
  • 脱毛が目立つ
  • 耳から大量の耳垢がでる、膿がでてくる
  • 発疹が出ている
  • 皮膚や毛が脂っぽくなっている
  • 耳が痒そう、振る、掻く、傾けている

上記のような症状がある場合、耳や皮膚に異常があることが懸念されます。内臓疾患と違って皮膚の異常は目に見えるため、常に来院理由の上位に位置しています。皮膚トラブルは何らかの疾患から起こる場合もありますが、生活環境や食事の内容が原因であることも考えられるので、ぜひ検査・診断を受けて、適切な対処につなげてください。

皮膚科・耳鼻科の検査方法

  • 押捺塗抹検査(スタンプ検査)

    押捺塗抹(おうなつとまつ)検査では、対象部位にスライドグラスを当て、採取した細胞や分泌物を顕微鏡で観察します。酵母様真菌(マラセチア)や細菌感染、腫瘍の有無や、白血球の状態などを確認できます。

  • 被毛検査、皮膚掻爬検査

    対象部位の被毛を顕微鏡で観察して、感染症の有無を確認します。また、カビ(病原性真菌)やニキビダニ(毛包虫)の存在を診断することもできます。さらに、毛基底部を見ることで、被毛の状態(成長しているか、休止期か)を把握することも可能です。一方、皮膚掻爬(ひふそうは)検査では、切除した皮膚を顕微鏡で見ることで状態を確認します。ニキビダニの存在や、疥癬の規制の有無を診断できます。

  • ウッド灯検査

    ウッド灯検査では、特定波長の紫外線を対象部位にあてることで、皮膚糸状菌症の疑いに対する診断を行います。皮膚糸状菌による感染がある場合、ウッド灯の照射に対して緑色の蛍光が見られることがあります。

  • 細菌培養検査・薬剤感受性検査

    細菌培養検査は、皮膚炎や細菌に起因する外耳炎の可能性に対して行い、病変の一部を培養することで感染原因を把握します。一方、細菌薬剤感受性検査は、感染している細菌を特定して抗生物質の処方を判断するために実施します。

  • アレルギー検査

    免疫は本来、身体に入り込んだ病原体などの異物を攻撃するシステムです。しかし、特定の物質に過剰反応を起こすことがあり、異物ではなく自分の身体を攻撃してしまうことがあります。この現象をアレルギーと呼びます。アレルギー検査は、アレルゲン(アレルギーの要因となる抗原)を特定するために、複数の方法から適切な検査を選択して実施します。

  • 血液検査

    ホルモン疾患や脂質の代謝異常など、皮膚病に関わることもあり、血液中の甲状腺ホルモン、副腎皮質ホルモン値などの内分泌検査や生化学検査をして、総合的に診断しています。

  • 皮膚病理組織学的検査

    皮膚病理組織学的検査は、視診による診断が困難な場合、悪性の疾患である疑いがある場合、治療前に診断確定したい場合などに行います。全身麻酔後に皮膚の一部を採取し、顕微鏡で表皮や真皮、皮下脂肪組織などを見ていきます。炎症が起こっているようであれば、そのパターンを確認しますし、できものに対しては細胞の増え具合を確認して、その結果を踏まえて治療を実施します。

皮膚科・耳鼻科でよく診る病気

わんちゃんによくある皮膚疾患・耳疾患

  • 細菌性膿皮症
  • アトピー性皮膚炎
  • 外耳炎など(細菌性、マラセチア、アレルギー性)
  • ホルモン疾患による脱毛症

ねこちゃんによくある皮膚疾患・耳疾患

  • 皮膚糸状菌症
  • 外傷性脱毛
  • アレルギー性皮膚炎
  • 耳血腫

皮膚科・耳鼻科の治療について

愛犬・愛猫の皮膚疾患・耳疾患の治療に関してご不明な点がございましたら是非一度お問い合わせください。

  • 薬物療法

    薬物は外用薬と内服薬に大別されます。皮膚疾患に効果的な外用薬は多く、主な治療方法にもなります。しかし、動物の場合舐めとってしまうことや、体毛で使いにくいケースもあるので全件に使用できるわけではありません。内服薬には、ステロイド剤や分子標的薬、免疫抑制剤や抗生物質などがあり、状態に合わせて使い分けますし、時には併用することもあります。

  • シャンプー

    シャンプーは体毛をきれいにする手段と考えられがちですが、動物の皮膚疾患の治療には有効な選択肢です。そのため当院では、動物たちの身体にやさしく、飼い主様にも負担が少ない治療方法として、状態に合わせたシャンプーの使用をアドバイスしています。また、使用方法にも注意点があります。まず十分に泡立てること、こするように洗うのではなく、体毛に沿ってやさしく洗うことなどです。

  • 食事療法

    食事はアレルギーに対処する上で考えることが多い要素です。また、適切な食事は体毛や皮膚の状態を良くしてくれます。さらに当院では皮膚炎をはじめとする疾患を抑えるための食事の指導もできます。