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コラム

ノミ・ダニの対策は春からが本番!当院の予防方法をご紹介

はじめに

ノミやダニは、わんちゃんやねこちゃんを吸血し、様々な症状を引き起こしたり病気を運んだりします。ノミやダニへの感染を防ぐには、飼い主様が予防対策を確実に行ってあげる必要があります。

この記事では

・わんちゃんやねこちゃんに寄生するノミやダニ

・ノミやダニが運ぶ病気の症状

・ノミやダニの感染を予防する方法

をご紹介します。

ノミ、ダニのせいで起こる病気は人に移ることもあるので、あなどってはいけません。わんちゃん、ねこちゃん、ご自身やご家族をノミやダニの病気から守るため、正しい知識を身に付けていきましょう。

ノミ・ダニについて

まずはノミやダニの一生や生息地を解説します。

ノミの一生

わんちゃんやねこちゃんに寄生するノミは、多くがネコノミという種類です。ノミは、成虫の期間だけわんちゃんやねこちゃんに寄生します。吸血して栄養を蓄えると、1~2日で産卵を開始します。卵は床や地面に落ち、カーペットやソファの隙間で幼虫~さなぎの期間を過ごして成虫になるとまたわんちゃんやねこちゃんに寄生します。

ダニの一生

ダニは種類がとても多いですが、注意が必要なのはマダニです。マダニは、幼ダニ、若ダニ、成ダニの3つのステージでそれぞれ吸血をします。メスの成ダニはこれ以上吸血できないという位まで吸血すると小豆大にまで膨らみます。吸血後、成ダニはわんちゃんやねこちゃんの体から離れてカーペットや畳、寝具にもぐりこみ産卵し、生まれた幼ダニがまたわんちゃん、ねこちゃんに寄生します。

屋外での生息地

ノミやダニは、屋外では草むらに生息しています。散歩中のわんちゃんやねこちゃんの体に飛びついて家の中に運ばれてきます。

ノミ・ダニによる症状、病気

ノミやダニの吸血が原因で起こる病気をご紹介します。

ノミ

ノミのせいでおこる感染症で気を付けるべきものは、下の3つです。

・ノミアレルギー

・瓜実条虫症(うりざねじょうちゅうしょう)

・猫ヘモバルトネラ症

それぞれ、症状を解説します。

ノミアレルギー

ノミアレルギーは、吸血するときにノミの唾液が体に入ることによって引き起こされるアレルギー反応です。腰部~尻尾にかけての背中側やお腹に赤い発疹や強いかゆみがでます。かゆみがひどくなると眠れなくなったり、毛を噛んでむしったりしてしまうこともあります。

瓜実条虫症

瓜実条虫はサナダムシの仲間で、腸管に住み着き、大きいものは50cmにもなります。瓜実条虫の虫卵を体内に持っているノミを毛づくろいなどの時に食べてしまうことで感染します。

瓜実条虫が寄生していても無症状のことが多いですが、下痢や嘔吐をすることもあります。瓜実条虫の一部(片節)がちぎれてうんちに混ざるので「うんちやお尻の周りに米粒のようなものがついている」という主訴で来院されると瓜実条虫症であることが多いです。もし同居のペットが片節を食べてしまったとしても、瓜実条虫はノミを介してからでないと移らないので心配はいりません。

猫ヘモバルトネラ症

猫ヘモバルトネラ症は、猫の赤血球に寄生する細菌の一種ヘモバルトネラによって引き起こされる感染症です。別名として猫伝染性貧血とも呼ばれています。

症状として、貧血、元気がなくなる、発熱などを引き起こします。

治療法

駆虫薬を投与してノミを退治し、かゆみや皮膚の炎症がひどい場合は症状を抑える薬を飲ませます。

ダニ

ダニを通じて広がる病気で注意すべきものは、最近問題になっている重症熱性血小板減少症候群(SFTS;Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome)、バベシア症があります。

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)

2011年に確認された新しい感染症です。SFTSウイルスを持つマダニにかまれることで移り、人でも症例が報告されています。症状は、発熱、嘔吐や下痢などの消化管症状、白血球や血小板の減少がみられます。

ねこちゃんでは黄疸が出ることも多く、死亡率も60%と高いです。犬では死亡率は30%程度といわれています。治療法はまだ確立しておらず、症状を抑えるための対症療法しかありません。

犬バベシア症

バベシア症は、バベシアという原虫が寄生することで起こる犬の感染症です。

マダニが2~3日吸血することで感染するため、定期的なマダニ予防が重要となります。

バベシア症の症状は、発熱、貧血、脾腫、黄疸、元気がなくなるなど、深刻なものばかりです。重症化すると命に関わる場合もあるので、早期発見・早期治療が重要です。

全国的に発生していますが、特に西日本に多く見られる傾向にあります。

吸血による貧血はあまりない

ノミやダニの吸血によって貧血になるともいわれていますが、衛生環境の整った現在の日本においては、わんちゃんやねこちゃんが貧血になるほどダニやノミが付着することはありません。

予防と対策方法は?

大事なペットをダニやノミから守るための予防や対策をご紹介していきます。

特に4月~11月はノミ・ダニの駆除が大事な期間

春になると、ダニやノミの活動が活発化してくるので、4月~11月ごろは特に対策が大事です。散歩や外遊びのあとはブラッシングをして、わんちゃんやねこちゃんの体からノミやダニを落としましょう。また室内の掃除をこまめに行い、ダニやノミを増やさないように工夫しましょう。

ノミやダニが体についているのを見つけたら

わんちゃんやねこちゃんにノミやダニが寄生していると、以下のようなサインが見られます。

・頻繁に体をかいたり、床や壁に体を強くこすりつけたりする

・毛を噛んでいる

・毛の根元付近に黒い砂状のフンがついている

・脱毛や赤い発疹などの皮膚症状がある

ノミやダニを見つけても、つぶしてはいけません。つぶすと、ノミやダニの体内に大量にある卵が飛び散ってしまいます。また、ダニを無理やり取ろうとするとギザギザした構造をしている口器だけがわんちゃんやねこちゃんの体に残り、アレルギー反応を起こすことがあります。手で潰したり取ろうとしたりせず、そのまま動物病院を受診しましょう。

■当院で行っている予防方法

ノミやダニの予防薬には複数のタイプがあります。ノミとダニの両方に効き目があります。

・チュアブルタイプの経口薬

・皮膚に垂らすスポットタイプ

1番人気があるのはチュアブルタイプで、安全性が高く、味もついているためおいしく食べてもらえます。お薬が苦手な子にはスポットタイプをおすすめします。

市販の駆虫グッズは注意が必要

市販のノミ取り首輪やスプレーは、成分によってかゆみや脱毛などの皮膚炎をおこしたり、効果が弱かったりすることもあります。動物病院でもらった予防薬を使うようにしましょう。

まとめ

ノミやダニによっておこる病気をご紹介しました。特に注意が必要な病気は、ノミが原因となるものではノミアレルギーと瓜実条虫症、ダニが原因となるものではSFTSです。わんちゃんやねこちゃんの体にノミやダニを見つけたら、手で取ったり潰したりせず、そのまま動物病院に連れて来てください。ノミやダニの予防は1年中大事ですが、特に4月~11月のノミやダニが活発な時期はしっかりと行いましょう。チュアブル、スポット薬があるので、合うものを使いましょう。