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コラム

犬の混合ワクチンと狂犬病予防注射について

はじめに

狂犬病予防注射はなぜ必要なのか?

日本にはない病気ではないのか?

また、混合ワクチンは毎年打つべきものなのか?

数年に1度でいいという話を聞いたことがある。

室内飼いでも、ワクチンは必要ある?ワクチンは必要ない?

この記事では、このような疑問に最新の情報で答えていきます。

狂犬病予防注射は、飼い主様の義務。

しかし混合ワクチンは、任意です。

あなたの大切な愛犬のために、とても重要な内容ですので最後まで一読ください。

犬にワクチン接種が必要な理由

わんちゃんの混合ワクチン接種や狂犬病予防注射をする目的は、感染症予防です。しかし、多くの飼い主様が知らない真実があることをご存じでしょうか。ワクチンを受けるのはわんちゃんなので、わんちゃんの病気を予防することが目的だと考える方も多いはずです。

ところが、ワクチンで予防できるわんちゃんの病気には、わんちゃんから人に感染するものがあります。わんちゃんにも人にも感染する病気を人獣共通感染症といいますが、もし愛犬が人獣共通感染症にかかったら、人にも危険が及ぶので注意が必要です。

狂犬病ウイルスは、わんちゃんだけではなく人を含めた哺乳類すべてに感染します。そして狂犬病を発症した人の致死率はほぼ100%です。

人獣共通感染症である狂犬病のワクチン接種の目的は、わんちゃんの感染症を予防することだけではなく、一緒に生活する人の安全対策でもあります。

狂犬病の予防接種について

1年に1回の狂犬病予防注射は、狂犬病予防法によって義務付けられています。狂犬病予防注射を行う時期は、わんちゃんの日齢によって異なるため、以下をご参照ください。

・生後90日以内のわんちゃんを迎えた場合には、生後90日を過ぎた日から30日以内に接種

・生後90日を過ぎたわんちゃんを迎えた場合には、飼い始めから30日以内に接種

狂犬病予防注射は、自治体の集団接種か動物病院で受けられます。自治体の集団接種が行われるのは、毎年4月から6月です。多くの動物病院では、時期を問わず受けられます。

狂犬病はどのような病気ですか?

狂犬病は、狂犬病ウイルスによる感染症で、人を含むすべての哺乳類に感染リスクがあります。
狂犬病ウイルスに感染してから、症状が発症するまでの潜伏期間は長めで、人間の場合は1~3か月間です。
狂犬病を発症すると、有効な治療はなく、ほぼ100%死亡します。また、発症までの間に、狂犬病ウイルスに感染しているかを調べる方法はありません。
人間が感染すると、発熱・嘔吐・食欲不振・頭痛に始まり、次いで痙攣・筋肉の緊張・興奮・幻覚・精神錯乱・不安感・恐水、そして昏睡から呼吸麻痺を起こして死に至ります。
また、わんちゃんが感染すると潜伏期は2週間から2か月ほどで、発症すると多くの場合1週間ほどで死に至ります。

犬の混合ワクチンについて

狂犬病予防注射とならんで、犬のワクチンには、混合ワクチンがあります。

狂犬病予防注射と異なり、犬の混合ワクチンには、接種義務はありません。しかし、国際的なガイドラインがあり接種が推奨されています。

ワクチン接種のタイミング

ワクチン接種のタイミングは、生後間もないときと、成犬になってからでは異なります。

犬のワクチン接種のプログラム

・生後60日までに1回目のワクチン接種した場合は、3週間ごとに3回接種を推奨しています。
・1回目が生後60日以降であれば、2回目を90日過ぎに接種し、2回接種を行います。
その後、1年に1回追加接種を行います。

レストスピラワクチン

・生後60日以降に1回目、90日過ぎに2回目の接種を行い、その後1年に1回としております。
・成犬になって初めて接種する場合、初回ワクチン接種後3週間後に2回目の接種を行い、その後1年に1回追加接種を行います。

※また、飼い主様の希望で、ワクチン接種を3年に1回のペースにするケースもあります。
その場合は、1年毎にワクチン抗体検査を行い、抗体価をみるようにしています。

ワクチンの種類

コアワクチンとノンコアワクチン

わんちゃんの混合ワクチンには、生活環境によらず、すべてのわんちゃんに推奨されるコアワクチンと、予防が必要な地域のわんちゃんに推奨されるノンコアワクチンがあります。

コアワクチンは、犬ジステンパーウイルス、犬アデノウイルスそして犬パルボウイルスに対するワクチンです。

ノンコアワクチンには、パラインフルエンザウイルス、レプトスピラ病に対するワクチンがあります。

そして、ワクチン接種が推奨されていないのが、犬コロナウイルスです。

犬の混合ワクチンで予防できる病気

・犬ジステンパー(コアワクチン)

・犬パルボウイルス感染症(コアワクチン)

・犬伝染性肝炎(コアワクチン)

・犬アデノウイルス2型感染症(コアワクチン)

・犬パラインフルエンザ感染症(ノンコアワクチン)

・犬レプトスピラ症(ノンコアワクチン)

ワクチン接種時の注意点

狂犬病予防注射も、混合ワクチンも、わんちゃんの体を免疫するために行うものです。

そのため目にみえる見えないにかかわらず、注射をすることで、わんちゃんの体内では何かしらの反応が起こります。

ワクチン接種は、できるだけわんちゃんの体調のよいときを選んであげてください。わんちゃんの体調に不安がある場合には、獣医師と十分に話し合うことをおすすめします。

どのようなワクチンであっても、接種後の副反応リスクには備えましょう。できるだけ安静に努め、過度な運動や入浴は、2~3日間は控えてください。

多くの副反応は、接種した日にみられます。接種した日は、できるだけ観察してください。